AGA外来を診療される方へ
【AGAの原因】
AGA(エージーエー)とは、Androgenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」の意味です。
成人男性によくみられる髪が薄くなる状態のことです。思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または双方から薄くなっていきます。一 般的に遺伝や男性ホルモンの影響などが主な原因と考えられています。抜け毛が進行し、薄毛が目立つようになります。
【AGAの原因】
髪の毛1本1本には寿命があります。伸びては抜け、また新しく生えることをくりかえしています。これをヘアサイクルと呼んでいます。下図1のように毛包は、成長期、退行期、休止期のいずれかの状態にあり、このうち成長期が一番長く通常2~6年間続きます。しかしAGA(エージーエー)の人は成長期が短くなるため、髪の毛が十分に成長しません。AGA(エージーエー)の脱毛部にはDHT(ジヒドロテストステロン)が高濃度にみられ、これがヘアサイクルの成長期を短くする原因物質と考えられています。成長期が短くなることにより、髪の毛が長く太く成長する前に抜けてしまいます。十分に育たない、細い短い髪の毛が多くなると全体として薄毛が目立つようになります。
【薄毛に対する意識調査】
2003年6月に全国に住む20歳から69歳の男性8,100人を対象に、毛髪についての意識調査が行われ、6,509人から有効回答を得ました。
抜け毛・薄毛を認識している男性の割合は年齢とともに上昇し、抜け毛・薄毛だと認識している人のうち、将来の状態を懸念している人の割合は若い世代ほど高いことが示されました。(右図)
この調査結果と日本の将来推計人口から、日本では薄毛を認識している男性は1,260万人、薄毛を気にしている男性は約800万人、育毛剤など薄毛への対 処をしたことがある男性は650万人、現在、薄毛に対して何らかの対処をしている男性は500万人であると推定されます。
板見 智: 日本醫事新報 2004; No.4209: 27-29.
図1:抜け毛・薄毛を認識している割合(年代別)
図2:毛髪の状態への懸念(年代別)
【進行パターン】
AGA(エージーエー/男性型脱毛症)の特徴は、その脱毛の進行パターンにあります。額の生え際から後退していくタイプ、頭頂部から薄くなるタイプ、これ らの混合タイプなどさまざまな脱毛の進行パターンがあります。
図:AGA(エージーエー/男性型脱毛症)の進行パターン
【プロペシア® 作用機序】
プロペシア®は5α-還元酵素を阻害し、男性型脱毛症の原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)*産生を抑制します。
プロペシア®錠 臨床効果<国内データ (1年)>
■国内投与試験(1年間)におけるプロペシア®錠1mgおよび0.2mgの効果
プロペシア®の改善率は0.2mg群で54%、1mg群で58%であり、プラセボ群(6%)に対して有意に優れていました。
なお、0.2mg群と1mg群の間には有意差はみられませんでした。(1年後写真評価)
【臨床成績】
国内長期投与データ
改善効果(写真評価):プロペシア錠1㎎3年間投与
(頭頂部写真)と(前頭部写真)
■国内長期投与試験(3年間)におけるプロペシア®錠1mgの効果(頭頂部写真評価)1)
プロペシア®錠1mgの1日1回1錠継続投与により、服用患者の98%で3年間AGA(エージーエー)の進行が認められませんでした。
【ザガーロ 第2のAGA薬】
ザガーロは一般名デュタステリドと呼ばれ、
日本の男性型脱毛症(AGA)治療薬としては新しい薬になります。
デュタステリドはフィナステリドと同じく
前立腺肥大症の治療薬として開発された経緯があり、
日本ではアボルブという名前で以前より使用されていました。
しかし海外ではAGA治療薬としても使用されており
フィナステリドを超える高いAGA治療効果が報告されていました。
テストステロンをDHTに変化させる5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があり、AGAは主にⅡ型が関与しているといわれています。フィナステリドはⅡ型を阻害しますが、デュタステリドはⅡ型に加えⅠ型も阻害する作用があります。
さらにⅡ型に対するデュタステリドの薬理作用はフィナステリドの3倍であり、フィナステリドと比べ1.6倍の増毛効果が報告されています。
頭頂部の直径2.54cm内における非軟毛(直径30μm以上)の数の変化に関してのザガーロの研究成果は以下となります。
■毛数に対する効果
フィナステリド1mgを投与した場合 56.5本の増加
プラセボ(薬効成分なしの偽薬)1mgを投与した場合 4.9本の減少
でした。
これに対して
ザガーロ0.1mgを投与した場合 63本の増加
ザガーロ0.5mgを投与した場合 89.6本の増加(フィナステリドの1.6倍)
ザガーロはすでにAGA治療薬として承認されているフィナステリドよりも優位性が高いことがわかります。
■髪の太さに対する効果
毛の太さへの影響は
フィナステリド1mgの場合 4µmの増加
プラセボの場合 0.9µmの減少
でした。
これに対して
ザガーロ0.1mgの場合 3.9µmの増加
ザガーロ0.5mgの場合 5.8µmの増加
髪の太さにおいてもザガーロの優位性があることがわかりました。
※一般的に髪の毛の太さは90μm